言葉にすると恥ずかしい

サトウダイの日記

王子

 

 むかし、むかしあるところに一国の王子がいました。

 

「やだ!やーだ!ピーマンなんて食べたくなーい!」

甲高い声が長い一本のテーブルの並ぶ食卓に響き渡る。

 

 彼の名前は「アル」

一国の主を務めるにはまだ幼すぎる若干8歳の少年だ。

食べ物の好き嫌いもまだ多いことを多いことを未だに世話役の「ロイ」に注意されている。

 

「おやおや、いけませんねぇ。一国の国王ご予定のアル様がこんなに小さいピーマンも食べられないなんて…これじゃあ立派な国王にはなれませんよ。」 

 

「うるさい、うるさーい!ピーマンなんて食べられなくても立派な国王に慣れ

 るモンだっ!」

 

アルが物心つく前から世話をしているビルは王子と世話役の関係だが、その主従関係は希薄とも言えるものであった。

 

「王子は好き嫌いも多いですが、部屋の片付けも出来ない、お風呂にも平気で三日は

 入らない、歯も磨かないですし、他にも…」

 

「うるさいうるさーい!!ビルはすぐお説教ばっかりするんだ!僕のすることにいちい

 ち口出さないでくれよ!!」

 

そういうとアルは走って食堂を飛び出して行きました。

 

「アル様っ…!?」

 

「アルはどこに行った?」

 

「国王様…申し訳ございません。私が少し厳しく注意したので怒って食事を中断してどこかへ行ってしまいました…

 

私は処刑…ですか?」

 

「ハッハッハ、そんなことで処刑にはせんよ。

 しかし困ったものじゃの…そろそろ王子の自覚を持ってもらわねば…」

 

 

 

 

 

「ハァ、ハァ全くいつもビルは説教臭いからやんなっちゃうよ。

 ところで、ここは?」

 

城をも飛び出し、辿り着いたところは城の外にある古い物置の前だった。

 

こんなところあったかな?と考えたがアルは外に出るのがあんまり好きじゃなかったためここにきたのも初めてである。

よく見るとその空き家扉には謎の紋章が刻まれている。

その紋章に興味を示し、アルはその扉をゆっくりと開けた。

 

 

中はいたって普通の民家だったが、辺りに散乱した酒の瓶や腐乱した食べ物が落ちていて、今にもアルは鼻が曲がりそうだった。

こんなところにはいられないとその家から出ようとした、その時。

 

「おいぼうや。」

 

奥の部屋から声が聞こえた。

またゆっくりと奥の扉を開くとそこには壁にもたれかかったガイコツがこちらに向かって喋っていた。

 

「うわぁっ!」

 

「驚いたか?」

 

「おっ驚くわけないやい!」

(実は少しちびった。)

 

「そうか…ぼうや名前は?」

 

「アル」

 

「アルかぁ、いい名前だ。

 アルよく聞け俺は酒を飲みすぎて死んだただのアルコール中毒のクソ兵士さ。

 アルコールはなそのむかしに禁止されていた。

 摂取しすぎると気性が荒くなったり、場合によっては死をもたらすからな。

 俺みたいに死ぬ奴もいる。だから一時は禁止になった時期があるのさ。

 ただ、良い面もある。俺たち兵士は戦場に行った疲れや、仲間の死をなんども経験

 してきた。癒しも娯楽もなかったそんな時に癒してくれたのが酒だ。

 アルコールが戦場を楽園にしてくれたのさ。

 くだらねえって思うかもしれねえだろ?だけどほんとさ。

 そんな思いを持った兵士や国民が一部いたのさ。

 そんな一部のために大多数の反対派の意見を押しのけて、酒を解禁したのは

 今の国王「ストロング様」だ。」

 

「お前にも国民の皆全員に耳を傾けて、みんなの楽園を作れるはずだ。

 いいね?」

 

ガイコツがそういうと、アルは意識が遠のいた。

 

 

「悪い夢でも見ていたようだ。」

「俺は夢の中ではアルと呼ばれていたんだなぁ

 やべっ!遅刻遅刻!!今日も今日も大事な商品会議があるんだ!!」

 

 

俺の名前は、酒強 是郎(しゅこわ ぜろう)。

サ○トリーに勤めるしがないサラリーマンさ。

昔からお酒が好きで、今でも度々、記憶がなくなるまで飲むことも…

今はチューハイに変わる新しいお酒の開発に没頭しているんだ!

あの夢を見てからというもの創作意欲が凄まじいんだ!

 

ぜろうが、

今までの酒の歴史を変えるほどの商品をこの世に発表するのは、

まだこれからのお話、、、

 

 

TO BE CONTINUED…

 

(楽園、希薄な主従関係、ガイコツの童話)